テーチ木染めしたものを次は泥田で染めます。
染めるというよりは、泥に含まれる鉄分(Fe)をタンニンと反応 させる
、泥でコーティングするといったほうがいいでしょう!。「鉄媒染」といいます。
媒染ことにより、茶褐色の糸が黒い褐色へと変化していきます。
奄美の泥の特徴
・きめが細かく粒子が丸い。(糸が傷つかない)
・自然界に存在する鉄分が豊富(赤土の土壌)
泥に入れることにより、糸はしなやかになり、ツヤがでてきます。
また、防虫効果や静電気防止、消臭作用、いろんなメリットがあります。
粒子が結合しますので、色ががっちりとスクラムを組む感じになります。結合力が増しますので、退色防止等泥でコーティングすること
によりたくさんのメリットが得られるのです。 泥に漬込む時間は温度、気候によって違ってきます。(夏は染まりやすい、冬は染まりにくい)
これだけの工程1回では完全な黒褐色にはならないので、この一連の工程を3〜4回繰り返すことで、やっと奄美の泥染め独特の深みのある黒褐色が生まれるのです。
(大島紬の糸は一週間〜10日ほどかけて染め上がります)
色のレイヤー(階層)が深いので、科学染料で合成し得ない独特の渋みのある色合いになります。
また、テーチ木の煮汁、自然の泥といった自然染料を使う為に、若干色落ちしたり、仕上がりが均一でなかったりしますが、手染めの温かさやわらかさ、またエージング(色の変化)も楽しめます。
島に自生するテーチ木と鉄分を多く含む田の泥を染料として染める方法はまさに、島の大自然と人の歴史によって生み出された技術です。