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泥染め職人ブログ

泥染めが好きでたまらない

奄美大島の大地の色

泥染めが好きでたまらない

見習い始めて6年目



奄美大島に生まれてこの方32年。
高校卒業後、就職で島を離れ大阪で8年勤めましたが、結婚を機に26歳の時に帰奄。
そして出会った泥染め。そのときはじめて知りました 。 

その場所は山に囲まれた集落の奥にあり、小さなトタン屋根の建物から煙突が一本突き出ていて、モクモクと白い煙を上げていました。人や車の通りもなく、天然記念物のルリカケスの鳴き声がガーガーと響き渡るとてもとても静かな場所にありました。

「泥で染める?」

その出会いは運命的なものでありました。私は高校卒業するまで18年も島に暮らしてきて、奄美の伝統産業である大島紬の泥染め(奄美でしか出来ない・大島紬の最大の特徴)を知らなかったのが、恥ずかしかったです。少々情けなく思いました。  
 
その染める工程には、原料のテーチ木(シャリンバイ=島に自生)をチップ状にすることから始まり、その時々の気候、時間、糸の状態をみながらテーチ木の煮汁で染め、鉄分の豊富な泥田でテーチ木染めした糸を、泥でまた染めるといった、およそ職人技、人の手で染め上げる気の遠くなるような作業。
本当に感動したのを今でも忘れません。

泥染めとは、泥で染めるのではなく、泥の鉄分とシャリンバイに含まれるタンニンを結合させることで、色を定着させ糸をしなやかにする。泥には防虫効果や消臭作用、人間の肌からでる周波数にほぼ近い周波数がでることで、肌に優しく、着こむ度、使用するたびに色が馴染んでいく等、いろんなメリットが隠れているのです。
僕はそんな泥染めが大好きです。

現在の時代にこれだけ手間ひまかけて作り出す物があるということ
また、手間ひまかけてでも創りたいものがあるということ。

奄美大島の大自然が提供してくれる天然の素材にこだわり染め上げていく色。大地から生まれるやさしい色、決して科学染料で合成し得ない独特の渋みの黒。
その色は、奄美の深い杜のように・・・・・海のように・・・・・

また、一年、一年と年経るごとに色が変化して行き、まるで人間が歳をとるように貴賓あふれる色合いになっていくのが、また、たまりません。

最近では、いろんな雑誌、新聞等にとり上げられ、泥染めの素晴らしさが少しずつ多くの方に知られるようになりうれしく思います。その反面、着物離れなど、大島紬の不況の時代が続く中、どうやって存続させるか、次世代の子達に伝えていくか、厳しい時ではありますが、「泥染めが好きでたまらない」をキャッチコピーにこれからも頑張っていきます。

島に自生するテーチ木と鉄分を多く含む泥田の泥を染料として染める方法は、まさに、奄美の大自然とシマンチュの歴史によって生み出された素晴らしい技術です。

この色に惚れた一人として、これからも頑張りたいです。

お目を通していただき、ありがとうございました。

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