赤いソテツの実
ここ奄美大島では、ソテツの実のことを「ナリ」と呼び、「成」という漢字に直します。成功の「成」です。
ソテツには忘れてはいけない大きな歴史があります。それは、戦時中から戦後にかけて食べ物がないころに、ソテツを食べ飢えをしのいだことです。このようなことがあったことを伝えていかなければならないと思っています。そこで、私は何かしなければと考え、ソテツ農園を作りソテツの実を販売していくことを決意したのです。
私のソテツ農園では東の水平線から太陽が昇り、西の水平線へ太陽が沈むのが見えます。そこへソテツの実を投げる。太陽が昇る方へ。私は努力が成功の近道だと信じ、ソテツを投げているのです。
奄美のソテツについて
ソテツは今から2億年前(二畳紀半ば)から7千年前(白亜紀)にかけて、気の遠くなるような昔から地球上に生息していました。そして恐竜の食料にもなったと考えられています。現在もメジロや奄美の野鳥が食べている姿が見かけられます。
奄美の人々は戦前・戦後の食料不足の時代、主食として先祖代々ソテツを植栽し、ソテツ粥(かゆ)を食べていました。
奄美大島の加計呂麻島にも南向きの傾斜地にたくさんのソテツが群生しています。 ソテツが一人前になるには、芽が出てから100年もかかります。材木用の木と同じように、植林しています。
現在は、ソテツのデンプンだけでなく、実(ナリ)も利用されています。
ただし実には本来毒性があり、毒抜きの作業をしないとデンプンとしては利用できないため、おみやげとしての加工品に利用されています。